今年のはじめ、妙心寺退蔵院で開かれた七草粥の会に参加したとき、この掛け軸に出会った。
墨一色で描かれた富士山の横に、
「富士 ふ二 ふ?」
と書かれていた。
そのときは聞くタイミングを逃したけれど、後日、副住職に教えてもらった。
「富士」「不二(ふに)」「不盡(ふじん)」
このとき初めて、「不二(ふに)」という言葉の存在と、その意味も知った。
富士山が描かれているから、
“この世にふたつとない、唯一無二の存在”ということかと思った。
でも実は、“ひとつしかない”というよりも、
“ふたつに分けられない”という意味だと知った。
自と他、善と悪、此岸と彼岸。
ふたつに見えて、ほんとはひとつ。
そういえば、昔参加していたNPOのロゴに
**「ALL as ONE」**
と書かれていたことも思い出した。
色んなことが起こる今の世の中。
その中で何か心が動くたびに最近は、
このとき見た富士山と、「ふに」という言葉が、
ふっと思い浮かぶようになった。