果物って、「食べ頃」があるじゃないですか。僕が最近よく食べるようにしているバナナとか、家族の誰かが入院したときぐらいしか食べることがないメロンとか、それぞれの果物ならではの熟した美味しさが楽しめる瞬間が。
ワインにも、実はそんな「飲み頃」があるんですけど、知ってましたか?
生まれたての若さを楽しむワインもあれば、時間をかけて丸みを帯び、深みが増していくタイプも。ひとつひとつのワインに、ひとつひとつの瞬間に楽しめる美味しさがもちろんあるけれど、ワインならではの熟成による美味しさを、ふと実感できる瞬間。
ワインの場合、その“飲み頃”は決して一瞬じゃないけれど、そこにたどり着くまでに少し時間がかかることもあって——
しかも、その時間も、ワインによって少しずつ違ってくるんです。
今日出会ったこのバナナ。
正直言って、食べ頃はもう少し先かもしれない。
でも、バナナ自体の質は高いから、今食べても、もちろん美味しい。
でも、もう少し時間を置いてやると、きっと、もっと美味しくなる。
僕が店で仕入れるワインを選ぶときも、こうしてバナナを眺めるときと、同じような気持ちで試飲しています。
「今」か、「もうちょっと先」か。
その一瞬の違いに、ワインの面白さが、ぎゅっと詰まってる気がします。