正直に言うと、
野球少年でもなかった僕には、
現役時代の長嶋さんも、
監督として活躍されていた頃も、
「ミスタープロ野球」とか「すごい人だ」とか、
あまりピンと来ていなかった。
でも、ここ数年、
テレビで長嶋さんを見かけるたびに、
「ああ、この人はすごい人なんだな」と、
思うようになった。
脳梗塞を患い、年老いて、
かつてのような姿ではなくなっても、
ファンの前に姿を見せ続けておられた。
どんな世界で活躍した人でも、
生きていれば年を取る。
それは誰にも避けられない。
でも、現役を退いたあと、
その“年老いた姿”を人前に見せる人は、
そう多くはない。
亡くなったあとに映るのも、
たいていは輝いていた頃の姿ばかり。
でも長嶋さんは違った。
その変化も、弱さも、老いも含めて、
すべて“生きている姿”として見せてくれた。
それは、野球少年でもなかった僕にも、
「ああ、この人は本当にすごい人だったんだな」
と、心から思わせてくれる姿でした。